「説明困難な苦痛」から「説明可能な苦痛」へ 自己治癒としてのアディクション

 

人はなぜ依存症になるのか:自己治癒としてのアディクション 

依存症は、自らの苦痛を「自己治療」するための究極の選択なのか

今日最も関心を寄せられている障害のひとつ、依存症。その発症と一連の経過を説明する理論のなかで、特に注目すべきが本書の主題・自己治療仮説である。依存症者は、おそらく無意識のうちに自分たちの抱える困難や苦痛を一時的に緩和するのに役立つ物質を選択し、その結果、依存症に陥るという。生得的な脆弱性、心理的苦悩、ライフイベントを発達論的視点から統合的に捉えているこの理論的アプローチを知ることは、依存症者と依存症が果たしている役割を理解するうえで非常に有用である。

Contents
第1章 なぜいま自己治療仮説なのか?
第2章 依存症―病気なのか、障害なのか
第3章 自己治療仮説と自己調節の問題としての依存症
第4章 自己治療仮説に関する実証的研究 感情調節と薬物選択の関係
第5章 依存症理解のための背景とモデルに関する概説
第6章 苦痛と自己治療
第7章 自己治療、精神障害、および感情的苦痛
第8章 トラウマと自己治療仮説
第9章 依存症と果てしなく続く苦悩
第10章 ニコチンとマリファナにおける自己治療仮説
第11章 嗜癖行動にも自己治療仮説は適用可能か?
第12章 依存症の神経生物学と自己治療仮説
第13章 自己治療仮説に基づいた治療と回復の指針
第14章 結論

bn793

訳者まえがきより

本書は、エドワード・J.カンツィアンとマーク・J・アルバニーズの『Understanding Addiction as SelfMedication:Finding Hope Behind Pain (原題:自己治療としての依存性:痛みの向こう側にある希望)』(2008)の全訳です。ここにh、カンツィアンたちの研究グループが唱え続けてきた依存性理論「自己治療仮設(Self-medication hypothesis(SMH)」が、コンパクトかつ平易に書かれてあります。この仮設は30年以上前に提唱されたものではありますが、いまだに臨床的に重要な意義を持ち続けている、精神医学会では稀有な理論です。

彼らの主張を大胆に要約すると、次の2点になります。1つは、依存症をかかえている人は決して手当たり次第に「気分を変える物質」に手を出しているのではなく、自信の内的必要性に基づいて選択している、ということです。もう一つは、依存性成立に必要な報酬は、物質がもたらす、物質がもたらす快感やハイな気分(「正の強化」)だけに限らず、主観的苦痛の緩和(「負の強化」)でも十分である、ということです。そしてときには、どう考えても苦痛としか思えないような自己破壊的行動でさえも、それが「説明可能な苦痛」であるがゆえに、「説明困難な苦痛」意識をそらすのに有効な場合がある、ということです。

 

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中